ニラの木陰にはずむ声

ジンギスカンを食べる時は部屋中に新聞紙を敷いていた。

半円形のジンギスカン鍋、異常なほどに油がバチバチ跳ねる。
おれは異常なほどにそのバチバチ油を恐がっていた。
そんなおれを見ておやじは困った顔をしていたのを覚えている。
あんなに恐がっていたのに、いつからか全くなんでもなくなった。
不思議なものだ。

ジンギスカンの肉は円形。
昔はこれしかなかった。
肉屋さんでは、肉を購入時に必ず白身の脂の塊を付けてくれるのだが、この脂を焼いて食べるのがたまらく好きだった。
今なら絶対食べようと思わないだろう。
ベルのタレにすりおろしたすニンニクをどっさり入れる。
そのタレを箸で白いご飯にペタペタして味を付けてから食べる。
またはおにぎりを器のタレに少し付けて食べる。

昔の家は換気扇など無い家だったので、開けた窓に扇風機を向けて煙を外に出していた。

ジンギスカンの野菜、おれはニラが好きだ。
そのほかの野菜はなんでも良い。
ニラさえあればそれだけでも良いのだ。

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