そして今がある。

おれは琴似工業高校を卒業し1年間ブラブラしたあと札幌大学経営学部に入学した。
在学期間は1年半ほどだったが、札大でカミサンとマルタツ師匠と出会えたのだから入学して良かったと思っている。

札大講堂で行われた入学のオリエンテーションで近所に住んでいる伊藤くんと3年ぶりに再会。
この再会がなかったらカミサンと出会えていたかどうか・・。
可能性はかなり低かったろう。

彼は小学4〜6年まで同じクラス。
出席番号はおれのすぐあと。
中学はクラス同じになったことは無かったが、3年間一緒だった。
「おー!五十嵐じゃあないか!」
彼から声をかけてきた。
少し話したあと「おれ、文芸部に入りたいんだ。部室に行ってみたいのだが、五十嵐悪いけど一緒に付き合ってくれないか。」
おれは付き添いで行くのなら良いよと彼と一緒に部室を訪れた。

どういう訳か文学には全く興味無いのに、おれも彼と一緒に入部してしまったよ。
少しあとにカミサンも入部した。

彼と再会していなかったら・・、おれが一緒に文芸部の部室に行かなかったら・・。

彼は大学卒業後警察官になったが、悲しいことに42歳の若さで亡くなってしまった。
亡くなったのは、おれがちょうど単身赴任をしていた時だ。
もともとおれは精神不安定なところがある上に単身のストレス、そして彼の死。
とうとう病院と薬にお世話になったよ。
毎年雪が降り始める寒い時期、カミサンと彼のお墓に行きお花を手向けている。
伊藤!またそのうち会おう!

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